脂肪吸引後のかゆみはなぜ起こる？原因と対処法を徹底解説

脂肪吸引を受けた後、「施術部位がかゆくて我慢できない」「このかゆみはいつまで続くの？」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

脂肪吸引後のかゆみは、多くの患者様が経験する一般的な症状です。この記事では、ビラビューティークリニックの経験豊富な医師の知見をもとに、かゆみが起こる原因から対処法、いつまで続くかまで、皆様の不安を解消できるよう詳しくご説明します。

脂肪吸引後のかゆみは正常な反応

まず最初にお伝えしたいのは、脂肪吸引後のかゆみは異常な症状ではなく、身体が正常に回復している証拠だということです。

かゆみを感じる患者様の割合

脂肪吸引を受けた患者様の約70〜80%がダウンタイム中に何らかのかゆみを経験しています。特に術後1〜2週間の時期に、かゆみを訴える方が多い傾向にあります。

かゆみの強さや範囲には個人差がありますが、「ちょっとムズムズする」程度の軽いものから、「我慢できないほどかゆい」という強いものまで様々です。

かゆみは回復のサイン

かゆみが出るということは、施術部位の組織が修復され、新しい皮膚細胞が生まれている証拠です。傷が治る過程で感じるかゆみと同じメカニズムで、決して悪いサインではありません。

ただし、かゆみに加えて以下のような症状がある場合は、すぐにクリニックにご相談ください。

• 強い痛みや熱感がある
• 施術部位が極端に腫れている
• 発熱がある
• 膿が出ている
• 異常な臭いがする

脂肪吸引後のかゆみが起こる5つの原因

脂肪吸引後のかゆみには、いくつかの原因があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1. 組織の回復プロセス

脂肪吸引では、カニューレ（吸引管）を挿入して脂肪細胞を取り除きます。この過程で微細な血管や神経が傷つき、身体は自然にこれらを修復しようとします。

組織が修復される際、ヒスタミンという物質が放出され、これがかゆみを引き起こします。これは怪我をした時の傷口がかゆくなるのと同じメカニズムです。

2. 圧迫固定（ガードル着用）による刺激

脂肪吸引後は、術後のガードル着用が推奨されますが、このガードルによる圧迫や摩擦が、皮膚への刺激となってかゆみを引き起こすことがあります。

特に長時間ガードルを着用していると、汗や皮脂が溜まりやすく、これが皮膚のかゆみの原因になります。ガードルの素材が肌に合わない場合も、かゆみが強くなることがあります。

3. 拘縮による乾燥

術後の皮膚は非常にデリケートで、乾燥しやすい状態です。特に、脂肪吸引後の「拘縮（こうしゅく）」という現象が起こると、皮膚が硬くなり、より乾燥しやすくなります。

拘縮とは、脂肪を取り除いた部位の皮膚が引き締まり、硬くなる現象です。この時期に皮膚が乾燥すると、バリア機能が低下し、外部刺激に対して敏感になり、強いかゆみを感じやすくなります。

特にガードルを着用している部位は、通気性が悪く蒸れやすい一方で、入浴後などは急激に乾燥しやすい環境にあります。

4. 神経の再生

脂肪吸引時に一部の神経が切断されると、術後に神経が再生する過程でかゆみや違和感を感じることがあります。これは「神経再生痛」とも呼ばれ、ピリピリ、チクチクとした感覚や、かゆみとして現れます。

神経の再生によるかゆみは、術後2〜4週間頃にピークを迎え、その後徐々に落ち着いていくことが一般的です。

5. アレルギー反応や感染

まれなケースですが、以下のような原因でかゆみが生じることもあります。

• ガードルの素材によるアレルギー反応
• 使用した薬剤（麻酔薬、抗生物質など）に対するアレルギー
• 軽度の感染症
• 肌に合わないスキンケア製品の使用

かゆみと同時に発疹、赤み、腫れなどが見られる場合は、アレルギー反応の可能性がありますので、すぐにクリニックにご相談ください。

かゆみはいつまで続く？時期別の症状と経過

「このかゆみはいつまで我慢すればいいの？」というご質問を多くいただきます。かゆみの経過には個人差がありますが、一般的な目安をご紹介します。

術後1週間：かゆみのピーク開始期

症状の特徴:

• 軽度〜中度のかゆみ
• 腫れや内出血と同時に出現
• ガードル着用による蒸れやすさ

術後1週間は、腫れや内出血がピークの時期でもあり、かゆみも徐々に現れ始めます。この時期はまだガードルを24時間着用している方が多く、蒸れによるかゆみも加わりやすい時期です。

術後2〜4週間：かゆみのピーク

症状の特徴:

• 最もかゆみを強く感じる時期
• 組織の回復が活発化
• 神経再生によるピリピリ感

この時期は組織の修復が最も活発に行われており、かゆみも最も強くなる傾向があります。「夜眠れないほどかゆい」という方もいらっしゃいますが、回復が順調に進んでいる証拠ですので、適切な対処法で乗り切りましょう。

術後1〜2ヶ月：かゆみの軽減期

症状の特徴:

• かゆみが徐々に軽減
• 時々ムズムズする程度
• ガードル着用時間の短縮

術後1ヶ月を過ぎると、かゆみは徐々に落ち着いてきます。ガードルの着用時間も短くなり、皮膚への刺激が減ることで、かゆみを感じる頻度も少なくなっていきます。

術後3ヶ月以降：ほぼ消失

症状の特徴:

• ほとんどかゆみを感じない
• たまに軽いかゆみ
• 通常の肌状態に戻る

術後3ヶ月を過ぎると、ほとんどの方がかゆみを感じなくなります。この頃には組織の回復もほぼ完了し、肌の状態も通常に戻っています。

個人差について

かゆみの強さや期間には、以下のような要因で個人差があります。

• 施術範囲の広さ（広範囲ほどかゆみが強い傾向）
• 吸引した脂肪の量
• 患者様の年齢や体質
• 肌質（乾燥肌、敏感肌など）
• 術後のケア状況
• ガードルの着用状況

脂肪吸引後のかゆみ対処法【10の方法】

かゆみは我慢しすぎるとストレスになり、睡眠不足や集中力低下の原因にもなります。適切な対処法で、快適なダウンタイムを過ごしましょう。

1. アイシング（冷却）する

かゆみを感じる部位を氷嚢（ひょうのう）で冷やすことで、一時的にかゆみを軽減できます。皮膚が熱っぽくなっているときに特に効果的です。

方法:

• 氷嚢または保冷剤をタオルで包んで優しく当てる
• 冷たい濡れタオルで軽く押さえる
• 1回5〜10分程度、かゆみが落ち着いたら中止

注意点:

• 直接氷を当てない（凍傷のリスク）
• 長時間冷やし続けない（血行不良のリスク）
• かゆみが落ち着いたらすぐに中止

2. 保湿ケアを徹底する

乾燥はかゆみの大きな原因です。低刺激の保湿剤でしっかりケアしましょう。

おすすめの保湿剤:

• ワセリン
• セラミド配合クリーム
• ヘパリン類似物質配合の保湿剤
• 無香料・無着色の敏感肌用クリーム

保湿のタイミング:

• 入浴後すぐ（5分以内）
• 朝起きた時
• ガードルを外した時
• かゆみを感じた時

3. ガードルを清潔に保つ

ガードルが不潔な状態だと、雑菌が繁殖してかゆみが悪化します。

ケア方法:

• 毎日洗濯する（手洗いまたは洗濯ネット使用）
• 2〜3枚をローテーションする
• 汗をかいたら早めに交換する
• しっかり乾燥させる

4. 通気性の良い素材を選ぶ

ガードルの素材が肌に合わない場合、医師に相談して別の素材のものに変更することも検討しましょう。

おすすめの素材:

• 綿混紡素材
• 吸湿速乾素材
• 抗菌・防臭加工素材

5. 掻かない（最重要!）

どんなにかゆくても、絶対に掻かないことが最も重要です。

掻いてしまうと:

• 皮膚が傷つき、感染のリスクが高まる
• 色素沈着やシミになる
• 仕上がりが凸凹になる
• かゆみがさらに悪化する

掻きたくなった時の対処法:

• 手のひらで優しく押さえる
• 深呼吸して気を紛らわす

6. 抗ヒスタミン薬を服用する

市販の抗ヒスタミン薬（かゆみ止め）も効果的です。

服用の注意点:

• 必ずクリニックまたは薬剤師に相談してから使用する
• 眠気が出る薬が多いため、運転前は避ける
• 他の薬との飲み合わせに注意

7. 入浴方法を工夫する

入浴はかゆみを和らげることもあれば、悪化させることもあります。

おすすめの入浴方法:

• 低刺激のボディソープを使用
• ゴシゴシ洗わず、優しく洗う
• 入浴後すぐに保湿

避けるべきこと:

• 熱いお湯（かゆみが悪化）
• 長風呂（乾燥が進む）
• 刺激の強いボディソープ

8. 適度なマッサージ（術後3週間以降）

術後3週間を過ぎたら、医師の許可を得て血行促進マッサージを取り入れることで、かゆみの軽減が期待できます。

マッサージの効果:

• 血行促進により拘縮が和らぐ
• 皮膚の柔軟性が戻る
• 乾燥によるかゆみが軽減

注意点:

• 必ず医師の許可を得てから開始
• 強く押しすぎない（優しく撫でる程度）
• 痛みを感じたらすぐに中止

9. 飲酒・喫煙を控える

飲酒と喫煙は、炎症を悪化させ、回復を遅延させるため、かゆみが長引く原因になります。

避けるべき理由:

• 飲酒: 血行促進により炎症が悪化、かゆみが増す
• 喫煙: 血流が悪くなり、組織の回復が遅れる

術後1ヶ月は飲酒・喫煙を控え、完全に回復するまで最小限に抑えましょう。

10. ストレスを溜めない

ストレスはかゆみを悪化させる要因の一つです。

リラックス方法:

• 十分な睡眠をとる
• 軽い運動やストレッチ（医師の許可後）

こんな時はすぐにクリニックに相談を

以下のような症状がある場合は、すぐにクリニックにご連絡ください。

• かゆみに加えて強い痛みがある
• 施術部位が極端に腫れている
• 膿や異常な分泌物が出ている
• 異常な臭いがする
• 発疹や水ぶくれができている
• かゆみが1ヶ月以上続いている

これらの症状は、感染症やアレルギー反応の可能性があります。早期に対処することで、重症化を防ぎ、仕上がりへの影響も最小限に抑えられます。

まとめ：かゆみは回復のサイン、適切な対処で快適に

脂肪吸引後のかゆみは、身体が正常に回復している証拠です。以下のポイントを押さえて、快適なダウンタイムを過ごしましょう。

• かゆみは術後2〜4週間がピーク、3ヶ月でほぼ消失
• 組織の回復、ガードル着用、乾燥などが主な原因
• 冷却、保湿、清潔を心がける
• 絶対に掻かない
• 異常を感じたらすぐにクリニックに相談

ビラビューティークリニックでは、術後のかゆみに関するご相談もいつでも受け付けています。無料カウンセリングで、術後のケア方法について詳しくご説明いたしますので、お気軽にお問い合わせください。